研究概要 |
ホール・エルー法と呼ばれるAl電解法は, エネルギー消費が高いため我が国のように電気代の高い国では操業できない現状にある. そこで, 新しい製錬法の確立が望まれている. そのうちのひとつに, 低温で電解できる塩化物浴法が提案されている. 本研究では, 肉眼で直接観察が出来るHot-filament法を用いてAlの析出状態や金属霧, 陽極効果など特異現象を観察すると共に, 電解途中で急冷した試料のEPMA分析結果などから電解機構の解明を行った. また, これを少しスケールアップしたルツボ法についても検討を行った. 得られた結果をまとめてみると次のようになる. 塩化アルミニウムの低温電解法におけるAlの析出状態は, NaCl-AlCl3浴では樹枝状の結晶が析出するが, Licl-AlCl_3浴では綿状(又は針状)に析出することがわかった. また, 高温法では, 最初粒状に(液滴状)析出するが, 電解時間と共にこれが層状に発達し, 電極表面を覆うようになる. 金属霧は, 電極上に析出したアルミニウムの再溶解によるものと考察されるが, 浴電圧が高くなると一時的に電流値の低下がみられるようになる. そして, LiCl-AlCl3浴の方がNaCl-AlCl3浴に比べて金属霧の発生が起こりやすいことがわかった. ルツボ法の場合も同様の浴組成で行ったが, 浴中に塩化アルミニウムを添加する方法として, 固体で添加する方法や気体状態で添加する方法を検討してみた. その結果, 浴電圧4V程度で電解した時, 気体で添加した方が固体状態で添加した場合よりも約2.5倍ほどAlの析出量が多く, また, 電流効率も90%と固体添加法に比べ非常に有利であることがわかった.
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