研究概要 |
1986年度においては, 羽毛状晶の生成機構を理解しようとして, 最初には一方何凝固して得た Al-Mg合金ビレットの横断面で, 羽毛状晶起点付近を連続的にミクロの組織観察し, 発生ならびに増殖の過程を調べた. ついで種つけによる実験で, 双晶境界の形成機構や, 成長方位等を調べた. 結果は次のようなに要約できる. (1)羽毛状晶の発生時には, 双晶境界は粒界が変化して形成されていく. このような粒界とは, これをはさむ結晶が共に(111)面を共有できる関係にある場合の粒界である. (2)双晶境界の増殖機構は二つに分類できる. タイプIは, 既存双晶境界上に新たな双晶境界の起点を有するもの. タイプIIは, 双晶境界形成の片側結晶内に生じた亜粒界上にきてんを有するもの. (3)羽毛状晶の優先成長方位は特に認められない. 〈110〉〈112〉いずれにも成長できる, 双晶境界は, これをはさむ両側結晶のデンドライト枝の成長方向でその向きが決まるが, デンドライト枝は次第に, 熱流方向に向くため, 鋳塊側部で双晶境界が傾く. 1987年度は主として羽毛状晶鋳塊の変形特性を調べた. 羽毛状晶の再結晶温度, 曲線は, 粒状晶や柱状晶のそれと変わるところはなかったが再結成組織については, 羽毛状晶のものが極めて微細均一な再結晶粒となった. また羽毛状晶鋳塊から切り出した板状引張り試験片を用いた結果では, 冷間, 熱間試験いずれでも伸びが粒, 柱状晶のそれより大きかった. 特に引張り軸方向を双晶境界に平行, そして〈110〉方向となるように合わせたものが中でも最も大きな伸びを示し, 63%にも達した. 強さには柱, 粒と比べて大差は無かった.
|