研究概要 |
粒子分散強化型Al-Al_4C_3-Al_2O_3系合金および短繊維強化Al-Al_2O_3複合材について, 熱処理による組織変化とクリープ挙動を調べ, 以下の結果を得た. 1.Al-Al_4C_3-4%Mg(粒子含有率4.5%), Al-Al_4C_3(粒子含有率9%)合金についての結果. (1)この合金系はいずれも, 873Kまでの加熱に対して安定な約0.4-0.8μm程度の微細亜結晶粒よりなり, 823Kで1h-24h加熱しても, 亜結晶粒や分散粒子の大きさはたかだか20%位変化する程度であった. しかし, クリープ速度は増加し, クリープ強度はかなり低下した. (2)クリープ曲線の形状, クリープ速度は, ある臨界応力付近で急激に変化し, 臨界応力以下ではクリープ曲線は主に1次ないし2次クリープで占められ, それ以上では主に3次クリープ段階で占められた. (3)加熱時間の増加によるクリープ強度の減少は, 臨界応力の減少によるもので, おそらく亜粒界の転位構造の変化による. 一方, 低応力下でのクリープ変形によって, 亜粒界が強化され, 臨界応力が増加した. 2.短繊維強化Al-Al_2O_3複合材(繊維含有率5, 10, 15%)の結果. (1)軟化・再結晶がほぼ完了する773Kで2h加熱し, クリープ試験を行なった. 低応力下では, 瞬間ひずみは弾性成分のみで, この時のクリープ曲線は大部分3次クリープに占められた. 高応力になると瞬間ひずみは塑性成分を含んで大きくなり, 1次, 2次クリープがクリープ曲線を支配した. (2)クリープ曲線はOプロジェクション法により1次クリープと3次クリープの和として良く表わされ, それぞれの速度定数を表わすパラメーター, O_2とO_4が等しく, Alの自己拡散によって支配されていた. (3)繊維の体積含有率が10%以上になると, クリープ曲線, クリープ速度はほとんど同じで含有率に関係しない.
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