研究概要 |
材料の劣化・損傷の非破滅評価に関連して, 超音波の減衰あるいは音速による機械的性質の推定法の確立を志向した. 熱処理により機械的性質を変化させた試験材, 爆接クラッド材およびアーク溶接材の各部において, 機械的性質, とくに切欠じん性と超音波の減衰定数あるいは音速との相関を検討した. 得られた結果を要約すると次のようになる. 1.熱処理材において, 硬さの増加にともない, 減衰定数はいったん減少した後, 飽和ないしはやや増大する傾向がみられる. また硬さの増大につれて, 音速はやや上昇した後低下する. 2.熱処理材において, 強度や伸び率と減衰定数の関係はなめらかな曲線によって表され, 減衰定数の増加につれて, 降伏強さと引張強さは減少し, 伸び率は増加する. 3.熱処理材において, 上部棚吸収エネルギと音速の関係はほぼ直線ないしは曲線で表され, 音速の上昇につれて上部棚吸収エネルギは増大する. 4.熱処理材において, 破壊限界開口量と減衰定数の関係はほぼ直線ないしは曲線で表され, 減衰定数の増大につれて破壊限界開口量は増大する. 5.爆接材において, 減衰定数の増大につれて破壊限界開口量は増大する. 6.爆接材において, 破壊限界開口量と音速の関係はならかな曲線で示され, 音速の上昇につれて破壊限界開口量は増大する. 7.アーク溶接材における破壊限界開口量と減衰定数の関係はおおよそ直線で表され, 減衰定数の増大につれて破壊限界開口量は増大する. 8.アーク溶接材における破壊限界開口量と音速の関係はなめらかな曲線で表され, 音速の上昇につれて破壊限界開口量は増大する.
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