研究概要 |
1.多成分化によるガラス化領域の変化 (1)NaPO_3-MnCl_2系;NaPO_3=100%は単独でガラス化する化合物であるが, これにMnCl_2を加えるとNaPO_3=85モル%の組成でガラス形成能が最大となることが判明した. この原因は, 液相粘度が極大となる他に, 融液構造が複雑化(融解エントロピーが増大)することにあると推定された. 液相温度は, NaPO_3=85モル%組成で共融点となることにも現れている. (2)Li_2O 2SO_2-Na_2O・2SiO_2系;LaO・2SO_2化合物とNa_2O・2SiO_2化合物の混合系について, 溶融法によりガラスを作製し, ガラス試料を600゜〜650゜Cの温度で熱処理して結晶成長速度を測定した. Na_2O=60モル%の組成において, 表面結晶成長速度は最小となり, Na_2O=10および90モル%の組成において最大となった. 粘度と液相温度の測定から, 中間組成において液相温度が最低となり, ガラス構成成分(すなわち融液の構成成分)が多様化することに原因があることが明らかとなった. (3)SiO_2-MgO-CaO-Al_2O_3-TiO_2系;多成分化するとガラス化が容易になる典型的な例として, SiO_2濃度が35モル%以下という低い組成であり, かつ他にはガラス形成成分は含まず, 単にMgO,CaO,TiO_2,AL_2O_3を共存させて含む系のガラス化温度(ガラス化する冷却開始温度)を測定した. この結果, AL_2O_3,TiO_2はMgOやCaOと結合して, 4配位のALO_4又はTiO_4構造を生成し, これが融液の網目構造を形成し, 粘度を上昇させると共に, ガラス化に役立つものと考えた. (4)SiO_2-Na_2O系,B_2O_3-Na_2O-TiO_2系; ゾル・ゲル性によるゲル化範囲と溶融性によるガラス化範囲の対応関係を調べた. その結果, 両者の間には, 可溶性の水和物が生成しない組成においては, 強い相似性が見出された. 2.振動式粘度計による液相温度の決定:Znll2-Kcl-pbcl2系のようにガラス化しにくい系の液相温度の決定に用いた.
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