研究概要 |
非定常熱線法の原理から, 熱伝導率と同時に熱拡散率, 並びに比熱容量も測定できることに着目し, 熱線とその温度測定を行うプローブを, あらかじめ試料内に埋設する方法と, 2枚の試料の接合面に挟み込む2通りの方法により, 各種高温材料の上記熱三定数の同時測定を可能にした. 得られた結果を要約すれば, 次のようである. 1)試料中に設置された熱線への電力印加回路, 並びにその温度上昇率測定回路と自動測定を行うためのマイコンインターフェースを試作し, 熱三定数演算プログラムを開発した. 2)シリコンゴムに埋設した熱線により熱伝導率を測定し, 走査熱料計によって測定した比熱容量から熱拡散率を求めて, 熱伝導基礎式に代入し三定数算出に不可欠の熱線の見掛けの半径γを0.023cmと決定した. 3)本測定法の妥当性を検討するために, 不定形MgO質, 及びMgO-Cr_2O_3質耐火物の室温から1000゜Cまでの熱三定数の同時測定を行った結果, いずれの熱伝導率, 熱拡散率も, 従来の測定結果とよく一致した温度依存性が得られた. ただ, MgO質の比熱容量だけは, 400゜C以上でやや減少するという異状な温度依存性が認められた. 4)本測定法の, 用性を図るために, プローブ挟み込み法での測定を可能にし, スピネル質耐火物により比較検討した結果, 走査熱量計による比熱容量との間によい一致がみられた. 5)高Al_2O_3質, 高MgO質, ジルコン質耐火物, Si_3N_4反応焼結体の1400゜Cまでの熱伝導率, 熱拡散率は, いずれも温度の上昇に従って減少したが, 比熱容量には大きな変化はみられなかった. 6)Al_2O_3-SiO_2系, MgO-SiO_2系不定形耐火物の熱三定数は, 温度の上昇によりわずかに増加した.
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