研究概要 |
1.pHの異なるアルミナー水系サスペンションを泥しょう鋳込み成形法により作成した成形体中の気孔構造と焼結挙動の関係を明らかにした. アルミナ粒子の凝集の程度はサスペンションのpHに依存し, 凝集の程度が大きくなるほど成形体中の気孔の量および径は大きくなった. 緻密化速度は気孔の量および径に依存し, それらが大きいほど所定の密度に達するのに高温・長時間の加熱を必要とした. 一方, 密度と結晶粒径の関係は成形体中の気孔の量および径には依存しなかった. 2.アルミナ粉体に粒径0.5〜2.0μmの球状ポリマー粒子を添加した系の焼結挙動を調べた. 導入された気孔は緻密化速度を低下させたが, この効果はポリマー粒径が大きいほど大きい. ポリマー粒径が1μm以下のとき, 気孔は収縮し, その形態は球状から三粒界上の気孔あるいは粒界上のレンズ状の気孔に変化した. ポリマー粒径が2μmのときは気孔の収縮速度は小さく, 気孔の形態もあまり変化しない. 今回使用したアルミナ粉体では, 約1μmを界にして気孔の挙動が変化することが分かった. 3.加圧成形, 泥しょう鋳込み成形および静水圧加成形により作成したアルミナ成形体の焼結挙動を比較した. 高密度焼結体を作成するためには, 粒子の充填を均一にし, 大きい気孔を作らないようにすることを明らかにした. 4.針状NiZnフェライトおよび酸化鉄を加圧成形および押出し成形して作成した成形体の焼結挙動を調べた. 針状粒子が配向し, 収縮に異方性を生じた. 加熱により針状粒子は等軸粒子に変化したが, 成形体中の気孔構造の異方性は焼結中期以降にも残された. 酸化鉄では焼結後期に結晶粒子が配向した. 粒子の配向は粒界の移動速度に影響を与え, 移動速度が大きくなり過ぎると粒内気孔を生じた. 同じ形の針状粒子でも, フェライトでは配向が起らず, 高密度焼結体が得られた.
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