研究概要 |
1.黒鉛層間化合物触媒による直鎖オレフィンの反応 (1)黒鉛-アルカリ金属層間化合物によるn-ブテンの異性化〕CsC_<24>, RbC_<24>, KC_<24>を触媒として, 1-ブテン, シスー2-ブテン, トランスー2-ブテンの単独異性化を行なった. 反応は原系ブテン圧に1次で進行し, 二重結合移行とシスートランス異性化が起こったが, 骨格異性化は認められなかった. n-ブテン異性化反応の6個の相対速度定数に基づくネットワーク解析では, いずれも凸型プロフィールを示すことがわかった. (2)KC_<24>, RbC_<24>, CsC_<24>による1-オレフィンの競争異性化及び水素化〕エチレン, プロピレン, 1-ブテン, 1-ペンテン, 1-ヘキセン, 3-メチルー1-ブテン, 2, 3-ジメチルー1-ブテンを二つずつ組み合わせて競争異性化及び水素化反応を行なった. n-オレフィンでは炭素数が増すと反応しやすくなるが, 分枝オレフィンでは炭素数ではなく, メチル基置換の度合いが大きいとむしろ反応しにくく分子篩的効果が示唆される. (3)黒鉛-アルカリ金属層間化合物の表面塩基性度と触媒活性〕有色固体の塩基性度測定法を開発し, 表面塩基強度分布からn-ブテン異性化反応速度の予測を試みたが, 可能であることが示唆された. 2.黒鉛-アルカリ金属層間化合物によるエチルベンゼン, スチレンの反応KC_8, KC_<24>, RbC_8, RbC_<24>, CsC_<24>によるエチルベンゼンの脱水素反応ではスチレンが生成した. スチレンの水素化ではエチルベンゼンが生成した. いずれの反応も原系炭化水素圧依存性は1次であった. 3.芳香族化合物の黒鉛-金属層間化合物への吸着と反応:トルエンは層間化合物にLangmuir型収着され, C軸格子定数が増大した. KC_8触媒によるフェニルアセチレンの水素化反応で, スチレンやエチルベンゼンが生成することがわかった.
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