研究概要 |
1.Pilet氏浴, エチレンジアミン浴, ジニトロジアンミン錯体浴からのパラジウム電解について, 定電位パルス電解法, 周期的逆転電位電解法, 交流電解法, 直流重畳交流電解法により研究した. いずれの電解法においても, 各周期内のアノード電解により析出したパラジウムの一部を酸化することにより, 電析物の表面形態が著しく変化することを見出した. また, 従来厚い電析物を得ることが困難であるとされてきた電解浴からも, アノード電解を伴う周期的な電解法により, 少くとも20μm程度まての平滑なクラックのないパラジウム電析物が得られることが実証された. さらに, アナライジングレコーダを用いて電流・電位波形を解析した結果, これらの電解活では酸化溶解しないパラジウムが, 電析直後には活性な部分がアノード分極により酸化されることが明らかとなった. すなわち, 本研究で用いた電解法により平滑な電析物が得られる理由が, この活性な部分の酸化によることが判明した. 2.アンモニア浴およびエチレンジアミン浴からのパラジウムーニッケル合金電析を, 定電位法, 定電流パルス法および直流重畳交流電解法により研究した. 定電位法による結果から, 電析電位により合金組成が制御できることが明らかとなったが, 浴の安定性からエチレンジアミン浴の方が優れているとの結論が得られた. 定電流パルス法は, 3つのパルスパラメータにより合金組成が制御できるが, エチレンジアミン浴からの電析物には通常クラックが存在した. しかし, 直流電畳交流法を適用すると, クラックのない厚い電析物が得られ, パラジウム含有率は80〜90at%で制御可能であることが明らかとなった. 3.アノード電解を伴う周期的な電解法は, パラジウムおよびパラジウムーニッケル合金に対して極めて有効な方法であり, 実用的観点から直流重畳交流電解法が優れていることが判明した.
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