研究概要 |
界面活性物質混合系の水との相互作用を分子レベルで検討したところ以下の結果を得た. 1.アニオン(SDS)-非イオン界面活性剤混合ミセル水溶液でアゾ型油溶染料を可溶化すると, 混合する界面活性剤の組み合せにより, 混合ミセル内でプロトネーションや退色する事を見い出した. つまり, 混合ミセルを形成している界面活性剤同士の親水基間相互作用により, パリセード層にトラップされている水分子の振動エネルギーが減少し, 結果として生じた長寿命の一重項酸素がヒドラゾ構造(互変異性体)のアゾ基のβ位を攻撃する事により生じた. さらに, 親水基間相互作用は, 界面活性剤の構造と密接に関係する事が分かった. 2.混合ミセル形成に及ぼす非イオン界面活性剤の影響は, アルキル鎖長の長い場合あるいはポリオキシエチレン鎖長の短かい場合の方が大であった. 3.両性界面活性剤(DMLL)にSDSや非イオン界面活性剤を混合すると, その水和固体の溶解温度が低下しあるモル分率範囲で0°C以下となった. さらにSDSとの混合系にカルシウムイオンが存在すると, ある組成比で分子間化合物を形成した. DMLLとSDS混合系のミセル形成は無機電解質及びpHにかなり依存した. 4.疎水基鎖長の異なるレシチンは, コアゲル相からゲル相への転移(Tgel)とゲル相から液晶相への転移(Tc)が認められた. このTgel転移は, レシチン疎水部に関与しその疎水基の増加に伴いエンタルピー変化も増加した. 一方, Tgel転移は飽和に達した層間水に関与し疎水基の変化に依存せず一定であった. また, 生成した液晶の構造はレシチンの濃度増加に伴い, ミエリン構造からラメラ構造へと変化した. 5.界面活性剤混合水溶液からの炭素系吸着剤への吸着は総てフロインドリッヒ式で整理でき, その吸着特性は組成比に依存した. 6.イソタコ測定により, 界面活性剤単分子相とミセル相を界面電気的に分離する事ができ, 会合数等を測定した.
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