研究概要 |
新規多フッ素化電子キャリヤー, 多フッ素化界面活性剤を合成し, その基礎的光化学挙動および光化学反応場としての機能について検討し以下の成果を得た. (1)多フッ素化電子キャリヤーの合成;ペルフルオロアントラキノン, ペルフルオロアントラキノンスルホン酸, 1-アミノおよび2-アミノペルフルオロアントラキノンを新規に合成した. (2)新規多フッ素化界面活性剤の合成;一本鎖型新規ペルフルオロアルキル化カチオン界面活性剤ペルフルオロアシルアミノエチルセチルジメチルアンモニウムブロマイド(Cn-PFAECDAB;n=1,2,3,8)を合成した. (3)多フッ素化電子キャリヤーの基礎的光化学挙動の検討. a)多ハロゲン化アントラキノンの光還元と光脱ハロゲン化反応. b)ペルフルオロアントラキノンの電子励起状態におけるnπ^*性とππ^*性. c)ペルフルオロアントラキノンのアルコールからの直接電子移動による光還元反応. d)アミノペルフルオロアントラキノン類とオレフィン類との可視光環化反応. e)ペルフルオロアントラキノンスルホン酸の水中, ミセル中, 逆ミセル中, 多フッ素還境下における光反応と光化学的電子伝達反応. (4)多フッ素化界面活性剤の分子集合体形成能と分子集合体のキャラクタリゼーション. a)臨界ミセル濃度会合数, ミセル界面の極性, 疎水性, 微少粘度などのキャラクタリゼーションから上記新規界面活性剤(C_1〜C_8)は水中ペルフルオロアルキル基を水相に向けて配向し, 水相-フッ素相-油相の従来にない新しい三層構造のミセルを形成することを見出した. b)新規表面多フッ素化ミセルの機能評価としてFenton試薬による耐酸化能を検討した. ペルフルオロアルキル基の炭素数8のものは通常の炭化水素型ミセルに比較して飛躍的に高い酸化能を示した.
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