研究概要 |
1.側鎖に高分極性の置換基をもつペプチド, ポリペプチドの合成 ポリ(L-グルタミン酸)を骨格とし, 側鎖にp-ニトロフェニルプロリノール(NPP), p-ニトロアニリドなどを含むポリペプチドが新たに合成された. またp-ニトロフェニルアラニンのホモポリペプチドも合成された. 一方, モノーあるいはジーニトロフェニル基を含むアミノ酸, アミノ酸誘導体, ジペプチド, トリペプチド類が多数新規に合成された. 2.二倍波発生(SHG)効率の測定 上記のペプチド, ポリペプチド類を粒径をそろえた粉末とし, Nα:YAGパルスレーザー(1064nm)を照射した. 散乱光中の二倍波(532nm)の強度をオシロスコープでモニターすることによって各粉末試料のSHG効率を評価した. その結果, L-バリンーp-ニトロフェニルアニリド(VaL-NA)は尿素の約9倍の強いSHGを示し, またN-ジニトロフェニルβアラニンやL-ロイシンーp-ニトロアニリドなども尿素の5倍以上のSHGを示した. 一方ポリペプチドについては, 高分極性の置換基の導入によりSHG強度が増加したものの, 尿素より強いSHGは観測されなかった. 上述の強いSHGを示したオリゴペプチドについて, 位相整合性を調べた結果, すべての試料について整合条件を満たしていることが明らかになった. またこれらは現在知られている有機SHG材料より低いカットオフ波長をもつ事がわかった. これらの結果は, 今回の研究で見出されたいくつかのオリゴペプチドが半導体レーザーの波長変換材料として有望なものであることを示している. 一方ポリペプチド類について, 今回の粉末法では高いSHG効率は見られなかったが, 延伸配向試料やコレステリック液晶状態では強いSHGを示す可能性がある. この点については今後の研究課題となろう.
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