研究概要 |
主鎖形高分子液晶(ポリエステル系とポリカーボネート系)と側鎖形高分子液晶(P-シアノスチルベン系, α-シアノスチルベン系およびカイラル原子団をメソゲン末端に有する系)の分子量の異なる重合体を合成し, それらの熱的性質, 配向挙動, 電気光学効果および押出し物の組織構造変化について検討した. 熱的性質については主鎖形液晶・側鎖形液晶共に分子量が1万以上で転移温度や転移エントロピー変化がほぼ一定に達する. ESRスピンプローブ法によるオーダーパラメーター(S)の測定では, スピンプローブ剤によって相関時間(Tc)やSが著しく変化するので, その形状の選定が重要である. またCN基ちメソゲン基に有する高分子液晶をESRスピンプローブ法でSを求める場合にはニトロキシラジカルとCN基を高温で反応し易いのでバナジルアセトンを用いることが必要である. 高分子液晶でも低分子液晶と同じように温度が高くなるとSは小さくなる. 電気光学効果については, やはり分子量が大きくなると立ち上り時間(Tr)は遅くなる. 液晶相の構造によっても大きな違いがあり, スメクチック液晶の方がネマチック液晶よりもかなりTrは遅い. 立ち下がり時間(Td)は粘性挙動によるので, 高分子液晶の場合はTrより10〜100倍遅い. 配向処理をしたガラス基板上で分子量96000の側鎖形高分子液晶(ネマチック相)に電界を印加すると, 明瞭なウィリアムズドメインが観察された. コレステリック液晶ではウィリアムズドメインは観察されなかったが, 動的散乱現象は観察された. 高分子液晶の押出しによる配向挙動の観察によりスペーサー部分のchainfoldモデルの妥当性を確認できた. また押出し紡糸よりも引張り紡糸の方が力学特性がよいことがわかった.
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