研究概要 |
ポリγベンジルグルタメート液晶溶液の表面場により制御されるホメオトロピック配向の出現により側鎖ベンゼン環は規則正しく配列し、スタッキングを形成する。本研究は、この構造を利用して、光電効果を示すセルを作成することを目的とし、以下の実験を行った。 [実験] 1)ホメオトロピック配向を出現させる最適条件を設定するため、ポリマー分子量,濃度,セル厚の配向状態への影響を検討した。 2)電極はそれぞれネサガラス,アルミ蒸着ガラス,さらにアルミの上にフタロシアニンを蒸着したものを用い、その組合わせでセルを作成し、その差を検討した。 3)溶液に、アントラセン,ナフタレン,β-ナフトール,アクリジンオレンジ,メチレンブルー,ヨー素を加えて、その影響を検討した。 [結果] 1)電極にフタロシアニンを蒸着しない場合は、光電流は極めて小さく、定量するに至らなかった。 2)色素のみのドープ,およびナフタレン,アントラセンの添加はむしろベンゼン溶媒のみの場合に比較し、光電流は低下する。さらにナフタレン,アントラセンを添加した場合には、印加電圧に"しきい値"が存在する。これはナフタレン,アントラセンの添加がベンゼン環の配列を乱し、側鎖ベンゼン環のスタッキングを破壊するものと考えられる。"しきい値"はセル厚によって異なるが、0.1mmのセル厚では500v/cmであった。
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