研究概要 |
試料として、当初予定したスペーサーの炭素数n=10および11のものに加えて、n=1,2,3,4,5,7,9および15の合計10種類のモノマーを合成し、次いでラジカル溶液重合反応を行い、各種ホモポリマーを得た。全試料とも、同時に同一条件下で重合反応を行った。分子量測定は全試料については未だ行っていないが、例えばn=10のポリマーの重量平均分子量は59000であった。 各ポリマーについて、DSCによる熱測定を行った。その結果、クリアリングポイントのスペーサー長依存性は、従来いわれていたような、炭素数増加に伴なう直線的降下は認められず、n=7付近まで降下したのちほぼ一定値を保つことが明らかとなった。今回見い出されたこの現象は、スペーサー長そのものが液晶相形成に大きな役割を演じていることをあらためて示しており、メソーゲン基の配向に寄与するスペーサーの効果を、nが7までとそれ以上との2つのグループに大別して現在考察をすすめている。なお、偏光顕微鏡による観察結果も、DSC測定の結果を支持している。 本研究費により購入した卓上テストプレスにより、誘電測定用フィルム成型を行った。その結果、フィルム成型は出来るものの、気泡の除去,成型後のフィルムのとり外しなどに若干の工夫が必要であることがわかった。成型し得た試料(n=4,5,7および10)について誘電測定を行っているが、ここに記述する程の結果は今のところ得られていない。 今後、フィルム成型法を改良するとともに誘電測定データを集積し、つづいて各種コポリマーの実験を行いたい。本研究課題に対しては、62年度予算の内示を受けているが、当該年度研究代表者が外国留学することが確定したため、科研費申請書提出はしていない。従って帰国後継続する予定である。 本研究結果の一部は第12回液晶討論会(名古屋)において発表した。
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