研究概要 |
DPPA(Dipkenyl phospharyl Azide)を用いて生理機能をもつ規則配列ポリペプチド類を合成し, それらの構造-機能関係を調べる以下の研究を行った. 1)一連の酸性及び塩基性ポリペプチドとしてPoly(Glu-X), Poly(Lys-X)及びPoly(Arg-X)系ポリペプチド(X:Gly,Ala,Leu,Phe)を合成した. 2)上記ポリペプチド類のコンホメーションやDNAとの相互作用糖を調べ酸性又は塩基性アミノ酸残基に隣接する疎水性アミノ酸残基が生理機能やコンホメーションに与える影響を調べた. 3)種の保存に重要な働きをしている精子特異性塩基性タンパク質の中でも魚類のプロタミン類は特にそのユニュークなアミノ酸配列とその生理機能の関係が興味深いが, この蛋白質の構造と機能関係を調べるため, いくつかのシリーズのArg系規則配列ポリペプチドを合成した. 4)上記プロタミンモデルポリペプチド類の固体及び深液状態でのコンホメーションを, IR, CD等の手法で調べた結果, プロタミン様のコンホメーション変化はそのアミノ酸配列中のSer残基による部分が大きい事が判った. 5)上記プロタミンモデルポリペプチド類のDNA熱融解抑制能やDNA凝集能等を調べ, プロタミン(ケルパイン, サルミン)と比較した. その結果, プロタミンのアミノ酸配列中, Ser残基の存在状態及びArg残基のブロッケ性の程度がその機能発現にとり重要である事がわかった. 6)上記ポリペプチド類のうち特にアルギニン系のポリペプチドについては北下免疫科学研究所東市郎研究室でビールスに対する感染防御活性や抗腫瘍活性, 特にガン転移阻止作用等の研究に供せられ多くの有益な知見を得た.
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