研究概要 |
ポリジアセチレンは, 結晶性で金属光沢をもつポリマーであることから, 機能性高分子の1つとして注目されている. 本研究は, 種々の官能基をもったジアセチレンを合成し, 機能性ポリジアセチレンの分子設計を可能にするための知見を得ることを目的に行ったものである. 本研究は2つに大別できる. 1つは, 固相光化学反応についての基礎的知見を得ることを目的とし, 光感応性置換基をもつジアセチレンと両親媒性ジアセチレンの混合薄膜の調製を試みた. もう1つは, イオン架橋した二次元化結晶性ポリジアセチレンの合成である. 1.両親媒性長鎖ジアセチレン薄膜:10, 12-ヘプタコサジイン酸と1, 22-ジカルバゾリルー10, 12-ドコサジインー1, 22-ジオンの10:1の混合物を単分子状に展開し, これをガラス基盤に移しとった. 光照射すると青色に着色することから重合することが確認できたが, 共重合しているのかどうか確認するには至らなかった. 2.イオン架橋ポリジアセチレン:10, 12-ドコサジイン二酸のカルシウム, コバルト, ニッケル, 銅, 亜鉛, カドミウム, バリウム塩を合成した. これらのモノマーを水に懸濁させて, 光重合させた. 亜鉛, カドミウム, バリウム塩は, 短時間の紫外線照射で青〜紫色の結晶になることから, 重合性が高いことがわかった. ニッケル塩は重合しなかった. 亜鉛塩のポリマーをX線粉末法で調べたところ, 回析ピークが観測されたので, 結晶性のイオノマーであることがわかった. 今後の課題は, ポリマーのさらに詳しいキャラクタリゼーションを行うこと, さらに成形可能な有機材料へ研究を展開させることである.
|