研究概要 |
粉末の吸着剤による, バッチ下での性能試験の結果は, 連続下の実操作に直接あてはまらないことは, 一般的である. これは, 主に, 実操作では,吸着剤を粒状化して用いること, および固液の不完全接触があることによる吸着剤性能の低下に起因する. 本研究の目標は二つに大別出来る. 一つは, 粉末状で, 脱リンに優秀な吸着剤を開発すること(バッチ下での吸着剤試験)およびこのバッチ下での優秀な性能を損はないような, 連続操作のための優れた固液接触法の開発である. まず第1の目標については, 本研究では, 未乾燥で細粒状の含水アルミナゲルガリン酸イオンの吸着に優れた性能を有することを見出した. 含水率(乾量基準)が150%以上の未乾燥ゲルの吸着容量(≒4mmol-P/g)は, 従来のアルミナ系のそれの4〜20倍にも達する. また, これの吸着速度は極めて速い. したがって, 本研究では, このような優れた性能を, ほぼ, そのまま連続下の実操作でも発揮できるような, 新しい固液接触法の開発を, 研究の第2の目標とした. 未乾燥の細粒アルミナゲルをそのまま脱リンの実操作に使用できる固液接触法として, 本研究では, フロック化流動接触法(FFC)を開発した. FFCは, 含水アルミナゲルをそのつま会合性コロイド状凝集剤(ACF, 先に筆者らが開発したもの)を用いフロック化せしめ, これを吸着塔中で, 含むリン処理水で流動せしめる方法である. この新しい接触法は, (1)フロックは, 処理原水と直接接触する塔低で, 一次粒子に破壊し, 理想的な接触が可能となる. (2)塔頂に向うにつれて, 破壊された一次粒子は再凝集し, 巨大フロックに成長し, 再び下降する. すなわち吸着層の上下混合が自動的に生じる-など特徴を有する. このFFCを用いて, 連続式下での脱リン操作を行った結果, 従来の方法と比べて, 負荷容量で約3倍, 空間速度で約10倍程度の操作が可能となることが分った.
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