研究課題/領域番号 |
61550692
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新井 邦夫 東北大, 工学部, 助教授 (10005457)
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研究分担者 |
リチャード・リー スミス 東北大学, 工学部, 講師 (10183708)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 炭素材料 / 超臨界ガス抽出 / 石炭 / 光学的異方性 / プレアスファルテン |
研究概要 |
石炭を炭素材料用原料として捉えた場合、低品位炭の利用技術はコークス用原料炭と比較してかなり立ち遅れているのが現状である。これは一般に低石炭化度炭は熱溶融性を示さず、炭素材用原料に不可欠な芳香族ラメラの再配列による光学的異方性構造が発現しないためであり、水添液化等の熱流動性を付与する処理が必要となる。しかしながら低品位炭といえども熱溶融性を示し得るマセラルが石炭中に散在しており、その分離が可能であれば低品位炭の炭素材用原料としての価値も向上する。そこで本研究では超臨界ガスにより石炭中の軟化溶融成分の抽出を試み、さらに抽出物の炭素化特性を検討した。試料炭として太平洋炭,イリノイNo.6炭,サフコ炭,ヤルーン炭の4種を選定した。これらはいずれも熱溶融性を示さず、加熱による光学的異方性構造の発現は認められない。抽出は、半回分式装置により行い、溶剤としてトルエンおよびトルエンにテトラリン、エタノールを0〜50vol%の範囲で添加した混合溶剤を用いた。温度・圧力条件は350〜380℃、10〜30MPaで行った。その結果、炭種や抽出条件により異なるが無水無灰基準で20〜50wt%程度の比較的高い抽出収率を得た。次にこれらの抽出物を窒素雰囲気下、400〜500℃で1〜3hr熱処理し、生成したセミコークスを常法に従い偏光顕微鏡により観察した。その結果すべての抽出物に微細なモザイク状(<0.1μm)の光学的異方性組織が認められた。なおエタノールとの混合溶剤による抽出物からは、他の場合の10倍程度の大きさの異方性構造が認められた。この抽出物は他の条件下でとものと比べ低い融点を有しており、その高い熱流動性が異方性構造の発達を促進させた原因と考えられる。また抽出物の熱流動性及び異方性構造の発生は含まれるプレアスファルテン量に大きく依存し、この量の調節が重要であり、最適な光学的異方性構造の発現には超臨界ガス抽出法は極めて有効であることがわかった。
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