研究概要 |
本研究はアミノ酸の支持液膜による分離, 濃縮機構について, アミノ酸の代表的なキャリヤである4級のアンモニウム塩を対象とし, 平衡論, 速度論に立場から実験的, 理論的検討を加え, 実用プロセス設計の問題点を明らかにしたものである研究成果は下記のように要約される. 1.抽出平衡の研究 キャリヤとしてトリオクチルメチルアンモニウムクロリドを用い, 水相と1-デカノール間のトリプトファンの分配平衡を25°Cにて測定した. その結果トリプトファンの平衡定数K_AはpH>10で約8となった. また水酸化物イオンの平衡定数K_<OH>はpH>12で0.5となった. 2.平膜を用いた定常膜輸送の研究 支持体としてポリプロピレン多孔質平膜(膜厚50μm, 空孔率A6C5=0.45)を用い, 薄層流通型支持液膜装置を用いてトリプトンファンの4級アンモニウム塩による抽出実験を行い以下の結果を得た. (1)アミノ酸の膜透過の律速段階は油膜内の拡散である. (2)アミノ酸と競合して輸送されるOH^-イオンの影響が無視できず, 供給液側pHには最適値が存在する. (3)ポリプロピレン平膜についての油相仮名キャリヤの有効拡散係数D_Eを求めたところD_E=0.96〜1.4×10^<-7>[cm^2/S]の値が得られ, 屈曲係数A6D3=1.3〜1.7となった. (4)得られたDEの値をもとにして油膜内拡散律速のモデルに基づき膜透過過程を数値シミュレーションしたところ実験結果をよく説明することができた. 3.中空糸膜を用いた非定常膜輸送の研究 テフロン中空糸膜(膜厚400μm, A6C5=0.7)を用いてトリプトファンの非定常膜輸送実験を行った結果, 実測値は油膜内拡散律速を仮定したモデルで良く説明することができ, D_E=7×10^<-8>[cm^2/S], A6D3=2.6の値が得られた.
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