研究概要 |
排ガスのクリーン化や省エネルギーというエマルションン燃焼の特性を生み出すミクロ爆発を促進させる方を検討する目的で, 燃料油中に分散させた水滴を加熱状態にしてそのフラッシング温度を測定した. 燃料油としては, ケロシン, ディーゼル軽油, テトラデカンを用いた. また分散相としては, 蒸留水, メタノール水溶液, エタノール水溶液を用いた. エマルションンの安定化のため, 分散相に対して10wt%のスパン80を添加した. ガラス管に入れた少量のエマルションサンプルをオイルバス中での2k/minで加熱し, 爆発的な蒸発が起きた温度をフラッシング温度とした. エマルションは撹拌式ホモジナイザー(25000RPM,10min)及び超音波ホモジナイザー(25khz,3min)で作製した. フラッシング温度は課なり広い分布を持つため一つのエマルションについて30〜50のサンプルについて測定した. このようにして得たフラッシング温度は, 試料の作製方法に依らず, 分散相分率の増加につれて減少する傾向が観察された. 50%フラッシング温度と分散相の沸点との差, すなわち加熱度は, 単位体積当たりのエマルションの表面積の関数として相関できるが, その係数は連続相と分散相の物質にも依存することが明らかにされた. またこの係数は界面活性剤の吸着量で相関できること, すなわち, 吸着量が大きい程フラッシングし易いことが明らかにされた. このため従来エマルション燃焼の効果が顕著でないとされる重質油を用いたエマルション燃料も, 界面活性剤の吸着量を増加させれば実用化できる可能性がある. このためには, 種々の界面活性剤がフラッシングに与える影響を今後明らかにする必要があろう.
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