研究概要 |
自由噴流において, ノズル出口壁等で流れに与えられた撹乱がほぼ規則的な大規模渦に成長し, それらが乱流へと変化する過程は従来主に可視化実験によって研究されてきたが, 断面の瞬時の速度成分を定量的に把握し, その過程を明らかにした研究はあまり見られない. そこで円形ノズル出口近傍で自然に発生した撹乱が大規模渦を形成し, それからが合一し, そして相互干渉することによって3次元化され, 不規則化されて, 自由乱流に発達していく様子を速度ベクトル線図, エネルギースペクトル曲線および2点間速度相関係数に基づいて明らかにすることを試みた. 6本のX型熱線プローブで同時に測定した2次元速度から大規模渦から大規模空の対流速度とみなせる各断面のr=D/2における軸方向時間平均速度U^^-_<O/2>を差し引いて速度ベクトル線図を計算機で画かせた. 主にノズル出口壁じ発生した軸対称変動流の核はただちにリング状の渦形成する. その渦のストロハル数は0.5〜0.6程度で, ほぼ同時にその1.5倍の高周波も現出する. これらの渦はただちに合一を始め, この合一によって渦は成長し, リングの輪の部分が太くなる. この太くなった部分の内側が噴流中心軸をこえてx/D≒2から干渉しはじめる. 下流に行くにつれこの干渉がリングの輪を切れ切れにする. これが顕著なる次元流れの現われであり, 渦は3次元渦となり, 流れはランダム化していく. X/D≧4では大規模渦は噴流中心軸をつききってさかんに干渉する. それによって小渦を発生させ, さらにランダム化が進む. X/D≒8でポテンシアルコアは完全に消滅し, 初期領域は終り, 遷移領域となる. 噴流巾をおおうほど大きく成長した渦はゆがみや分裂によって中小の多数の渦を発生する. 一部の大規模渦は合一をくり返し, 外部の流体をまきこみさらに成長していく. Re数が約1万以上ではノズル出口近くですでにリング状渦は3次元渦となり, 合一して発達していく.
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