研究概要 |
1.乳化液膜によるフェノールの透過に対して, 透過速度のシミュレーションに必要なすべてのパラメーターを, 操作条件と(W/O)エマルション滴径および内水相微小滴径から推算できる汎用的な物質移動モデルを提案した. 種々の条件下で測定した回分透過速度を本モデルにより良好に説明できることを明らかにした. 2.回分式攪拌槽を用いて, LIX64Nによる銅イオンおよびD2EHPAによる亜鉛イオンの透過濃縮実験を種々の条件下で行い, 1.で提案した物質移動モデルを金属イオンの透過に拡張したモデル計算と比較検討した結果, 透過速度のシミュレートがほぼ可能であり, 乳化液膜による金属イオンの透過に対しても本モデルの適用できることが判明した. 3.向流接触塔による金属イオンの連続濃縮操作のモデルシミュレーションを行った. 連続相に軸方向分散モデルを, (W/O)エマルションの分散相には上記の物質移動モデルを適用し, キレート抽出剤を担体とする2価の金属イオンの液膜濃縮操作に対して数値計算を行い, 塔内濃度分布に及ぼす操作因子の影響について検討した. 効率的な操作には連続相PHのコントロールが肝要であること, および先に報告された塔内実測濃度分布のシミュレーションがほぼ可能であることを明らかにした. 4.乳化液膜による分離濃縮操作用として, 平行に設置した銅製の多孔板電極の間を通過するW/Oエマルションに, 直流の静電気高電圧を印加する方法を適用した連続解乳化装置を試作した. 本装置による効率的な解乳化には, エマルションと電極が常に接触した状態で操作する必要のあること, およびエマルションの供給速度と解乳化速度が等しい条件下の場合, 処理量の二乗が印加電圧に比例して増大し, 極板間隔には依存しないこと, さらに良好に解乳化されていることを示した.
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