研究概要 |
燃焼炉内に噴霧した燃料液滴群の粒径分布測定は, 燃料液滴の燃焼過程を実験的に解析するうえで重要である. 著者らはすでに非燃焼場で適用性を検証してきた帯電法による簡便液滴粒径分布測定法を, 燃焼場において適用可能にする方法を検討した. この帯電法は, 液滴が一定電位に保った単電極センサに接触するとき, 粒径で定まる静電容量とセンサ電位の積で表される電気量に帯電することに基づいている. 本測定原理によれば, 耐熱センサを使用することにより, 燃焼炉内のような高温雰囲気の中にある液滴群の粒径分布も測定可能である. 本研究はそのためのセンサならびに測定回路, データ処理装置を開発することを目的とするものであり, さらにこの測定システムの開発によって, 燃焼炉内の燃料液滴粒径分布変化を速度論滴に解析することとを可能としたものである. 本研究では, 燃焼場の燃焼ガスが液滴の帯電電荷を散逸させかつセンサ電極からガス中に電流を漏洩させる漏洩電気抵抗として働くことを説明し, その漏洩電気抵抗効果の影響を受けずに本測定理論が燃焼場に適用できる測定回路条件を回路理論により明らかにするとともに, 水滴エチルアルコール液滴のポット燃焼場での粒径測定結果により, 本測定理論の妥当性を確かめた. ついで, 本測定法をマクロコンピュータとパーソナルコンピュータならびに耐熱センサによって装置化し, エチルアルコール・水混合燃料の噴霧燃焼場での粒径分布測定への適用性を検証した. この実験から, 非燃焼場で測定した粒径分布結果は, 液浸法で測定した分布結果とよく一致すること, また燃焼ガス温度が最大温度となる付近で粒径分布のメジアン平均径ザウタ平均径がともに大きくなる分布変化を観測できた. これらの結果から本測定法が燃焼場の燃料液滴粒径分布測定に精度よく適用できる有効な方法であることが明らかになった.
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