研究概要 |
下水汚泥、家畜糞尿を土壌に対し7.5dryt/10a相当、芋焼酎廃液は2.7dryt/10aで混合し、ノイバウワーポット中、25℃暗条件下水分を常に使用土壌の最大圃場容水量の60%に保ち培養した。経時的に試料を採取し、廃棄物混合土壌の理化学性を測定した。ヌゲルクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィー(HPSEC)を混合土壌の水抽出物について分析した。更に混合土壌中のコマツナ種子72時間幼植物試験を行い分解過程での植物生育阻害の評価を行った。成果、低C/N比有機質廃棄物が土壌中で分解する過程はゲルクロマトグラムより(1)分解初期(パターン【I】)、(2)アンモニア化反応で高いPHを示し、生成した腐植様物質が抽出されやすくなる期間(パターン【II】)、(3)生成したアンモニアが硝酸となる硝酸化成反応が活発となる時期(パターン【III】)の3段階に分類できることが明らかとなった。このパターン分類は無機態窒素の挙動とよく対応していた。この間の主要化学成分の変化は、汚泥の場合、HPSEC分析より分子量2500以下の成分から【NO_(3~)】と分子量10000以下の腐植質への変化であることが判明した。更にコマツ菜幼植物試験の結果よりパターン【III】になった培養土壌では植物阻害がみられなくなり有機質廃棄物が土壌中で安定化した事を示していた。以上の事実より、低C/N比有機質廃棄物の土壌中に於ける分解安定化は土壌混合物水抽出液のゲルクロマトグラフィーによって簡便に追跡でき、牛尿,牛糞,豚糞尿,鶏糞,魚粉,厨芥,汚泥および芋焼酎廃液はそれぞれ、7,28,21,21,28,14,と28日を安定化に必要とした。ここで土壌分解における前処理効果をみる為に汚泥と汚泥コンポストを比較した結果、コンポスト化したものは安定化が7日と大幅に短縮されることが判明した。また芋焼酎廃液の多年連用土壌の分析値からは最大容水量,陽イオン交換容量,硝化能,無機態窒素の増加がみられ、有機資材の農地還元は土壌の理化学性改良にとっても有用であることが明らかとなった。
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