研究概要 |
気相熱分解法による超微粒高活性担持金属触媒の開発は内容から三つの部分に分けられる. 第一段階:Ni(NO_3)_2のCH_3OH溶液の噴霧熱分解法によるNi/SiO_2触媒の調製はNiO粒子が300〜500Aの超微粒化されその触媒活性は一酸化炭素のメタネーション反応を用いて測定したところ, 通常の含浸法で調製した触媒に比べて高いことが明かとなった. ここで更に触媒活性を高めるためにかNi粒径を小さくすることが考えられるが, Ni粒径は本法では噴霧液滴の大きさに支配され, 300〜500A以下には微細化出来ない事が明かとなった. そこでNi源を気相から供給する方法として 第二段階:NiCl2を気化させ, Ni源として用いた. しかしこの方法はSiClおよびNCl_2の酸化により生じる塩素が共通塩効果と同じ作用をし, 酸化反応を抑制する. そのためNiCl_2の末反応物が残留し水素吸着を著しく抑制するため, 触媒活性が低くなる. この欠点を取り除くため, 第三段階:水蒸気を添加して, 酸化により生じた塩素をHClとして系外に取り去り反応を促した. この様にすることでNiCl_2の転化率はほぼ定量的と成った. またNiCl_2蒸気として供給するための過飽和度も高くなり, 100A程度のNiO粒子までの調製が可能となった. 次にこの触媒の粒径は通常の含浸法に比べて余り変わらず, むしろ大きいくらいであるにも関わらず, 活性の高い事から, その活性発現の機構としてNiO生成時の急速クエンチングのためNiO結晶子に歪が生じたためと考え, 歪を測定したところ, 歪が3〜4×10^<-3>のところに最適値の有ることが明らかになった. また触媒粒子の成長速度はSiO_2及びNiO核の凝集過程が律速である事も明かにした. これらの事から, 連続気相熱分解法によるNi/SiO_2触媒の調製の基礎的事項は明確になった.
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