研究概要 |
本学部附属農場の慣行法で機械移植(菌の葉齢3.5前後, 坪当り60〜70株植)した早期および普通期栽培水橋, それぞれ60株について1株植付菌数, 移植後の生育並びに収量関連形質, 収量および収量構成要素の株間変動について検討した. 1.1株植付菌数は1〜10本前後の範囲に分布し, 平均5〜7本で変動係数(CV)は約40%前後であった. 2.収量関連形質, 収量および収量構成要系のCVは, いずれも1株植付菌数にくらべて小さくなった. そして, これらの諸形質はCVの大きさによって4つのグループに分類できた. すなわち, (1)株間変動, 極小の形質(CV5%以下)…籾摺歩合, 整粒歩合, 1次および2次枝梗当り籾数, 1穂当り1次枝梗数, 精籾千粒重(2)同, 小の形質(CV5〜10%)…稈長, 平均1穂長, (3)同, 中の形質(CV10〜20%)…有効芝歩合, 1穂当り2次枝梗数, 平均1穂籾数, 平均1穂重, 穂重(精籾重)/わら重ee, 登熱歩合(4)大の形質(CV20%以上)…株当りの最高芝数, 穂数, 穂長, 籾数, 穂重, 精籾重, わら重, である. このような各形質の株間変動の大きさは, 品種, 作期, 栽培年度あるいは栽培条件を異にしても成立していた. 3.1株植付菌数の多い株ほど最高芝数, 穂数が多く, 株当りの籾数が多くなって穂重(精籾重)も優った. しかし, 1穂籾数, 1穂重は, 植付菌数の多い株ほど低下する傾向にあった. また, 有効茎歩合, 登熱歩合, 精籾千粒重, 穂重(精籾重)/わら重eeは1株植付菌数による変動が小さかった. 4.部分刈り法で求めた収量(玄米重), わら重, 玄米重/わら重eeの変動係数は, 株当りの変動係数の1/2〜1/10を示した. 5.機械的植区では, 植付深度の株間変動が手植移植区(1株植付苗数均一)にくらべて小さかった. その結果, 分げつ盛期以降の芝数のCVが小さく推移し, 収量, 収量構成要素のCVは手植移植区よりも, むしろ小さくなった.
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