研究概要 |
本研究は畑作物の栽培技術の向上に関する基礎資料を得る目的のもとに, 作物と雑種との相互作用を化学物質の面から明らかにしようと試みたものである. 実験にはコムギ, オオムギ, エンバク, ダイズ, エンバク, ルーピン, アルファルファ, シロクローバ, ヨモギ, オオツメクサ, スズメノテッポウ, チドメグサ, ヤエムグラおよびドクグミを供試した. 得られた結果はつぎのように要約される. (1)作物および雑草の水抽出物はイネの幼苗の生育を抑制した. 特に, コムギ, エンバク, シロクローバ, オオツメクサ, チドメグサ, ドクダミにおいて著しかった. また, ナタネの発芽はエンバク, ダイズ, ルーピン, アルファルファの抽出物によって抑制された. (2)作物および雑草遺体の埋没処理はダイコンの初期生育を抑制した. 抑制作用の大きかった植物はエンバク, オオムギ, ヤエムグラ, ヨモギであった. エンバク, ヤエムグラ, オオムギの埋没処理はトマトの生育を抑制した. (3)アルファルファの浸出液はダイコンの初期生育を抑制し, 乾物重を低下させた. (4)エンバクおよびアルファルファ植物(跡地)土壌のメタノール抽出物ダイコンの発芽を阻害し, またエンバクではダイコンの胚軸の伸長を抑制した. アルファルファの抽出物はイネの初期生育を抑制した. これらの結果は両作物の植生土壌にはアレロパシー物質が存在することを推察させた. (5)エンバクおよびアルファルファ地上部のメタノール抽出物はイネの初期生育を抑制し, 両作物にはアレロパシー物質の存在が推察された. (6)エンバク, アルファルファ, オオツメクサおよびチドメグサ地上部のメタリー抽出物を活性炭カラムクロマトグラフィで分画した結果, 活性部分はフラクションNo1〜2, No5/〜6およびNo10であった. エンバクおよびオオツメクサのフラクションNo1〜2について薄層クロマトグラフィで分画後, 紫外吸収スペクトルで検討した結果, 活性部に芳香族化合物の存在が推定された.
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