研究概要 |
1.マルバカイドウの3系統(盛岡セイシ, 立ち性長野1, 2)×M9(-)の交雑を行ない, 胚培養, 胚珠培養, 胚の休眠打破実験う行なった. (1)受粉71〜75日後の交雑胚(ほぼ成胚)をMurashige・Skoog(MS)寒天培養を用い, 暗所で20日間培養して胚的成長させたのち, 6月間低温処理して休眠打破し実生化をはかったが, 発芽したのは25%にとどまった. (2)受粉25〜29比後の交雑胚珠(球状胚期)を胎座をつけて, またはつけないで191日間Nitsch(1972)修正倍地を用い, 暗所で培養した結果, 成熟種子に成長したのは胎座をつけた1胚珠のみであった. (3)ジベサリン(GA_3, GA_<4+7>)10m/lの処理が8〜10月採取のリンゴ休眠胚の休眠打破作用をもつことを確めた. そこで上記交雑胚をG処理し, 12中96を発芽させることができた. 2.半数体作出をめざし, M9(-), M26の緑蕾期から分離初期の花そうを採取し, MS寒天倍地, 明条件下で葯培養を行なった. その結果, 2年間に培養した5460個の中1個が胚を形成した. 葯のパラフィン切片のの顕微鏡観察により, 中心花のみ紅蕾の時期は花粉は四分子〜一核期, 中心花, 側花とも紅蕾の時期は一核期, 分離初期は一核期〜二核期に当たることがわかった. これから, 胚形成をみた葯は一核期〜2核期と推定した. 3.半数体作出の別法とて, M26の無受粉胚珠培養を試みた. 胚珠は肥大成長したが, 胚形成は認められなかった. 4.M9(-), マルバカイドウ(立ち性長野2合)の珠心培養により, 胚およびカルスの形成を認めた. また, M9(-)の珠心起源カルスをMS倍地で継代培養した1カルスに胚形成を認めた. しかし, 珠心起源カルスの抗ホルモン物質(5-hy droxynitrobengsl-bromide, 8 aza-gnanine, B-9), アブシジン酸, 活性炭などを用いた再分化実験は不成功であった.
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