研究概要 |
1.既設の完全制御型植物栽培装置内に、NFTシステムを試作して、挿し木苗ならびに幼植物生産に供した。本装置は地上部・地下部環境が複合的にマイコン制御されるものであるが、両者の諸元を組入れた本年度の試験結果では、地上部要因に従属させるべき地下部要因のデータ蓄積が少なく、いくつかの問題点が提起された。今後、光強度、光質と関連させた好適培養液組成、【Co_2】濃度と関連した培養液濃度等について検討しなければならない。 2.TMVに抵抗性を有する経済品種3種を栽培し、栽培中期・終了時に異なる部位から、異なる葉令の挿し穂を採取した。挿し穂の発根性と成苗率は栽培中期、頂部採取の3〜4葉期で最も優れた。T/R率,葉面積/生体重等の指標からみた定植苗の素質は、1〜2葉期採苗が最も優れたが、定植後の生育は栄養生長過多になった。挿し穂苗の栽培試験では、収量・品質ともTM-【2^a】因子を保有する品種で3〜4葉期に頂部から採苗するか、5〜6葉期に頂部から5〜6節下の側枝から採取した苗で、最も成績がよかった。 3.もみがらくん炭,ウレタン,ロックウール,ピート等の培地を、それぞれ単独ならびに組合せてプラグ苗育成鉢に詰め、トマト挿し穂ならびにトマト種子を播種して、発根ならびに生育に及ぼす環境条件の影響を調査した。プラグ苗培地としては、ロックウールチップならびにピート・ロックウールチップの混合培地が最も優れた。光条件は発根するまでの5〜7日間は5〜6K/x,以降5葉期まで10〜15K/x,育苗後期20〜25K/xが好適であった。温度は発根・発芽まで25℃恒温,以降明期20℃,暗期16℃,根圏温度18℃-定が最もよかった。添加する培養液のECは、生育段階ごとに、0.3mS/cm5日,0.8が5日,1.3が10日,1.8が30〜40日とするのがよかった。最適環境では発芽から第1花房開花まで53日で到達し、通常の育苗日数を約20日間短縮することが可能となった。
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