研究概要 |
ヒメサユリ, ササユリ及びタモトユリの短期間での子球増殖と生長の促進法について調べた. (1)ササユリ及びタモトユリの未展開葉切片はヒメサユリの葉切片と同様に子球をよく形成し, 母鱗茎から採取した鱗片と違って汚染もほとんど起らず, すぐれた外植体であることがわかった. (2)母植物より採取出来る未展開葉数はあまり多くないので, 1葉から得られる子球数を増加させる方法について検討した:(1)ヒメサユリの葉切片を液体培地で前培養したあと固形培地で培養して子球形成の促進を試みたが, この処理は全く効果がなかった. ;(2)各ユリの葉切片培養に適したNAAとBAの濃度はユリごとに異なり, 採取部位によっても違うことがわかった. (3)子球の増殖のために, 無菌的に育成された子球の鱗片をそのまま培養するのではなくて均等分割して培養すると, 鱗片切片の採取部位によって子球形成能力は違うが各切片は比較的よく子球を形成し, 子球形成数を鱗片あたりに換算すると均等分割切片の培養により子球数は二, 三倍増加した. また鱗片及び鱗片切片の子球形成は暗条件より明条件で促進され, ヒメサユリでは子球を低温したあと鱗片を採取して培養すると子球形成が促進された. 一方, 鱗片切片を液体培地で前培養したあと固形培地で培養したが, 葉切片の場合と同様にこの処理は子球形成に全く効果がなく, 逆に抑制することがわかった. (4)葉, 茎及び鱗片切片に形成された子球は外植体から分離して再培養すると急速に生長することがわかった. ササユリではこのようにして得た500mg以上の子球は凧場を茎を伸長したことから, 培養開始2, 3年後には開花球が得られると推定された.
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