研究概要 |
高品質の中脱生カンキツ果実を供給するための栽培・貯蔵技術を開発する研究の一環として, 予措乾燥効果について次の研究を行った. 太田ポンカン, 宮内イヨカン, 森田ネーブルオレンジ, ハッサク(以上昭和61年), 川野ナツダイダイ, サンポウカン, マーコット, セミノール(昭和62年), ミネオラ, 柳橙(昭和63年)を収穫当日から7日間, 20°±1°C, 低湿区(平均湿度, 64%), 高湿区(92%)で予措乾燥し, この間の果実目減り, 呼吸の変化を調べた. この他に24°, 15°, 10°, 5°及び1°C(低湿区, 高湿区)の5温湿度条件で, 1週間予措処理し, その後全区共, 5°±0.5°C, 85±5%RHで貯蔵し, 貯蔵終了時の果実品質(果皮色, 糖度, 酸度, 果肉率, 果汁率)を調べ, その結果をNEC-9801コンピューターで統計分析し, 以下の結果を得た. 1.収穫直後の果実を20°C, 低湿下で予措乾燥すれば, 品種によって程度の差(1〜5%の有意差)はあるが, 果実の呼吸が抑制される. 2.適当な条件で(24°C〜20°C, 低湿)予措乾燥した果実は, 低温貯蔵中の果実の目減りが少ない. 3.1°〜24°の温度範囲の予措処理は, 貯蔵中の果皮色に影響し, 10°〜15°Cで予措乾燥した宮内イヨカン, 森田ネーブルオレンジ, アマナツカン果実は1°C及び24°Cで予措乾燥した果実に比べて, 果皮の橙赤色が優れる. 4.1°〜24°Cの範囲の予措乾燥温度は, 貯蔵終了時の果実品質に影響し, 20°〜24°Cの高温予措の果実は, 1°〜5°Cの低温予措処理果実に比べて, 酸含量及び糖度が高い. 以上のように, 予措乾燥条件は, 中脱生カンキツ果実の貯蔵品質に影響するので, 品種及び貯蔵の目的に応じて予措乾燥条件を選択する必要がある.
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