研究課題/領域番号 |
61560052
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
道家 紀志 名大, 農学部, 助手 (80023472)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 局部的誘導抵抗性 / 全身的誘導抵抗性 / ジャガイモ疫病 / 疫病防除 / 生体防御系の利用 / 活性酸素生成反応 |
研究概要 |
植物の局部的および全身的誘導抵抗性の発現能力に依拠した疫病防除の理論と技術的問題を明らかにするため、ジャガイモ疫病の防除を対象として、その基礎的研究を行なった。1.非親和性菌の感染に対するジャガイモ植物の局部的抵抗性発現において必須の過程である過敏感細胞反応能の活性化が、菌の胞子発芽過程に放出される高分子により起り、その成分は【O(^-_2)】生成反応を活性化し、Ca【Cl_2】との協同作用で宿主細胞の性質を変え親和性菌の感染に対し局部的抵抗反応を発揮する性質にした。2.【O(^-_2)】生成反応を活性化する既知物質を検索し、そのモデル物質としてジギトニンを見い出し、 本物質とCa【Cl_2】の共同作用で、親和性菌による感染と発病が抑制されることを見い出した。3.局部的抵抗性反応に関与する抗菌性物質として重要なファイトアレキシン生合成系の誘導に、不飽和脂肪酸の過酸化反応系が関与することを示し、リノレン酸過酸化物中にその誘導活性を示す化合物の存在を確認した。混合過酸化反応物の宿主組織への処理で、感染に対する抵抗性が誘導され、疫病防除効果のあることが判明した。4.局部的抵抗性反能を植物組織の一部に菌体壁成分で誘導し、それが全身的獲得抵抗性を誘導することをポットおよび圃場栽培植物で確認した。これにより80%以上の持続的疫病防除価がえられた。全身的抵抗性の誘導に関し、全身的な【O(^-_2)】生成反応の活性化現象を明らかにし、この活性化に関与する内生的情報伝達物質を検討したが、今後の課題として残された。5.実際の圃場栽培系で、全身獲得抵抗誘導の作物生産性におよぼす影響を調べ、その誘導処理が生育促進効果を示し、30%強の塊茎増産作用のあることが判明した。以上の成果は、植物自体の生体防御系を刺激、修飾あるいは制御することにより、疫病菌に対する感染・発病抵抗をさらに付加し、疫病防除ができる可能性を示唆したものであり、今後の技術開発への指針を示した。
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