研究概要 |
各作物において登熟期間に葉・茎の構成物質が分解され, 収穫部位へ転流し, そこで収穫部位の構成物質が合成されるが, この過程で炭素・窒素化合物がどのような挙動をとるかについてはほとんど明らかにされていないので, 生育最大期と収穫期の各器官での炭素・窒素化合物の組成の変化を調査し, これらの過程を明らかにようとし, 下記の結果を得た. 1)登熟期間中に葉・茎重はイネ, トウモロコシではほとんど変化しないが, やや増加し, ダイズ, バレイショでは減少した. 一方, 各構成分組成は各作物とも生育によらずほぼ一定であったことから, イネ, トウモロコシではヘミセルロース, セルロース含有率が高いため細胞壁が分解されにくく, ダイズ, バレイショでは各種成分が均等に存在するため細胞壁が分解されやすかったと考えられる. 2)葉・茎室素の収穫部位室素への寄与率はイネ, トウモロコシで大きく, ダイズ, バレイショで小さかった. 葉・茎からの窒素の減少はイネ, バイレショの葉, トウモロコシの茎, ダイズの葉・茎で大きく, これらの器官が収穫部位へ移行する窒素の貯蔵にとって重要であった. 3)遊離アミノ酸組成は, 時期, 器官, 作物により大きく異なり, アスパラギン酸, グルタミン酸, アスパラギン, グルタミンの占る割合が著しく高かった. 4)タンパク態アミノ酸組成は, ダイズで他の作物とやや異なるものの, 遊離アミノ酸組成に比べると, 時期, 器官, 作物による変動は小さく, 各種のアミノさんが均等に存在した. 5)以上の結果を期に, 各アミノ酸の代謝過程を考慮して, 炭素の収支を試算し, 窒素化合物の分解・合成にともない著しい炭素の組換が起きることを明らかにした.
|