研究課題/領域番号 |
61560075
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
土壤・肥料
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
脇内 成昭 神戸大, 農学部, 助手 (40101068)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 植物根 / 養分吸収 / カルモジュリン / イオノフォア / ATPアーゼ / ミクロゾーム / プロトンポンプ / カチオン |
研究概要 |
植物の養分吸収過程において、ATPアーゼが関与し、プロトン勾配の形成が生じることが明らかにされてきた。本研究では植物材料としてオオムギとイネの根からミクロゾーム画分を遠心分離により調製し、この画分に含まれるATPアーゼ活性の性質及びプロトンポンプ活性の性質を検討した。 オオムギ根ミクロゾームATPアーゼ活性は【Mg^(2+)】、【Ca^(2+)】により活性化され、【K^+】には影響されなかった。一方イネ根からのATPアーゼ活性は【K^+】、【Na^2】にも感受性を示した。10%デクストランクッション上に回収された膜画分のプロトンポンプ活性はアクリジンオレンジの蛍光消光を分光蛍光光度計により測定した。反応液にATPを加えると蛍光消光が生じ、この消光はイオノフォアであるグラミシジンの添加により完全に、またNH【4!+】により約60%解消された。ATPと同時に【NO(_3^ー)】を添加すると蛍光消光が阻害されたことからこの膜画分には液胞膜由来の膜小胞が含まれていることが明らかとなった。 オオムギ及びイネの根からミクロゾーム画分を得て界面活性剤(Zwittergent3-14)で可溶化した後、DEAE CelluloseカラムクロマトグラフィーによりATPアーゼの精製を試みた。その結果、ATP加水分解活性を持つ二つのピークが分離された。第一のピークはATPに対して高い特異性を示したが、第二のピークは非特異的でフォスファターゼ活性と考えられた。ATPアーゼはこの操作により約9倍に精製された。この部分精製ATPアーゼは【Mg^(2+)】、【Ca^(2+)】に対してより高い感受性を示した。カルシウム受容蛋白質であるカルモジュリンは影響を与えなかった。これはカルモジュリンが膜結合状態のATPアーゼに作用することを示唆している。 今後、ミクロゾーム画分に含まれる膜画分のATPアーゼ、プロトンポンプ活性の性質を更に詳細に調べることにより、植物根の養分吸収機構の一端が解明できると考えられる。
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