キーワード | N^G, N^G-ジメチルアルギニン / N^G, N′^G-ジメチルアルギニン / シトルリン / ジメチルアルギニントランスアミナーゼ / N^G, N′^G-ジメチルアルギニンイミノヒドロラーゼ / 代謝機構 / ラット / 1-アミノプロリン / 【N^G】,【N^G】-ジメチルアルギニン / 【N^G】,【N^('G)】-ジメチルアルギニン / α-ケト-δ-(N,N-ジメチルグアニジノ)吉草酸 / α-ケト-δ-(N,N'-ジメチルグアニジノ)吉草酸 / 代謝 |
研究概要 |
メチル化修飾タンパク質の代謝回転に伴って体液中に遊離されるN^G, N^G-ジメチルアルギニン(DMA)及びN^G, N′^G-ジメチルアルギニン(DM′A)のラットにおける代謝機構を酵素レベルで解明した. 1.DMA, DM′Aの代謝経路:ラットに投与した放射性DMA及びDM′Aの挙動を詳細に検討した. DMA, DM′Aは共にトランスアミナーゼの作用によりそれぞれのα-ケト酸に転換された後, これらα-ケト酸の酸化的脱炭酸化合物へと代謝される. 一方, DMAは特異的に直接シトルリンへと転換された後, さらに尿素回路に関連した種々の化合物へと代謝される. これらに本研究者が既に明らかにしている, DMA, DM′AのN^α-アセチル体への転換経路と合わせて, DMA, DM′Aは3つの主要な経路より代謝されることを立証した. 2.DMA, DM′Aの代謝に関与する新規酵素類の単離と諸性質: (1)ピルビン酸存在下DMA, DM′Aをそれぞれのα-ケト酸へ転換する新規酵素(ジメチルアルギニントランスアミナーゼ)をラットの腎臓より単離した. 分子量は約20万であり, 同一の分子量(約5万)をもつサブユニットの四量体である. 各サブユニット当りPLP1分子を含む. DMA, DM′Aを良好なアミノ基供子体として, ピルビン酸, グリオキシル酸へのアミノ基転移を触媒する. α-ケトグルタール酸は基質にならない. 至適pHは9.5〜10.0にあり, DM′A, ピルビン酸に対するKm値は15.2mM及び2.3mMであった. (2)DMAを直接シトルリンに転換する新規酵素(DMAイミノヒドロラーゼ)をラット腎臓より単離した. 本酵素は分子量約3.3万である. DMAに高い特異性を有し, メチル化されたグアニジノ基のC-N結合を不可逆的に加水分解してシトルリンとジメチルアミンを生成する. 至適pHは6.5であり, DMAに対するKm値は0.18mMであった. 本反応は補酵素を必要とせず, SH試薬(PCMB, HgCl2)や2価金属イオン(Cd^<2+>, Cu^<2+>)が強い阻害を示した.
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