研究概要 |
枯草菌の一株Bacillus subtilis var.saccharolyticus n.sp.のシュクロース培地での生育菌体から微アルカリで酵素を遊離せしめ, 塩析後クロマト操作により電気泳動的に単一の標品にしてその性質(pH安定性pH4.5〜7.5;最適pH7.0;温度安定性pH7.0, 30°Cイレキュベーションで30°Cまで, 最適温度活性35°〜40°C;MW.4×10^4;km=22mM)を明らかにした. 蔗糖以外に単糖或はオリゴ糖を共存させた条件下で反応を行いフルクトースの転移したヘテロフルクトオリゴ糖を生成させその構造について研究し受容体の還元性末端C1にフルクトースC2を優先的に転移する特性を有すること, しかもその特異性も絶対的でなくC1が結合に関与したトレハロース或はマルチトール等でも収量は劣るものの転移生成物が生じ主にC6に転移したものが得られることが判明した. 活性化CHSephadex4Bと共有結合させた固定化Levansucraseは温度安定性が40°Cまで増加しマルトオリゴ糖へのフルクトース転移を試みたところ失活することなく反履使用が可能であった. 固定化酵素によるマルトースーF, マルトトリオースーF, マルトテトラオースーFの合成は収量約30%で同程度の転移効率を示した. 上述マルトースシリーズにフルクトースー分子を転移させて生じた非還元性マルトフルクトオリゴ糖はヒト起源のアミラーゼの分別定量に利用可能である. マルトースーFはα-グルコシダーゼのみが分解可能で他のものは作用しなかった. またマルトトリオース以上のものは難易の差はあるもののすべて分解可能であった. イソマルトースにフルクトースが転移したものは人尿中のα-グルコシダーゼのα-1, 6結合切断可能なα-グルコシダーゼ間の強弱判定で特異性の違いを識別しうることが判明した. 上述の合成ヘテロオリゴ糖は新たな特異性の酵素の検策に利用可能である.
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