研究課題/領域番号 |
61560106
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用生物化学・栄養化学
|
研究機関 | 広島女子大学 |
研究代表者 |
石永 正隆 広島女大, 家政学部, 助教授 (70110765)
|
研究分担者 |
釘宮 正往 広島女子大学, 家政学部, 教授 (10118044)
|
研究期間 (年度) |
1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 抗酸化剤 / 大腸菌 / リン脂質 / ジパルミトイルレシチン / 膜流動性 / リン脂質の相転移 |
研究概要 |
合成抗酸化剤、没食子酸プロピルは大腸菌の生育を阻止した。この時、リン脂質、ホスファチジルグリセロールの減少とそれに対応したカルジオリピンの増大がみられた。一方、大腸菌より得たリン脂質は二つの相転移温度を有していたが、没食子酸プロピルの添加によって低い方の転移温度は消失した。これは、没食子酸プロピルがより不飽和度の高いリン脂質種と強く相互作用することを示している。また、このことは、没食子酸プロピルの抗酸化作用と関係があることを示唆している。トコフェロールも不飽和脂肪酸と特異的に相互作用することが知られている。 合成リン脂質、ジパルミトイルレシチンの流動性に対する影響を調べた。没食子酸プロピルの濃度の増加と共に、ジパルミトイルレシチンの転移温度は41°Cから除々に低下し、26°Cに収れんした。コレステロールやトコフェロールの場合は、その濃度の増加と共に相転移ピークは消失してしまうが、没食子酸プロピルの場合は、いったんはブロードになったが、再び鋭いピークを呈した。このことから、没食子酸プロピルはジパルミトイルレシチンと複合体を形成し、その複合体の転移温度が76°Cであると考えている。また、没食子酸プロピルは、レシチンのsubtransitionを消失させ、ホスファチジルエタノールアミンに対してはsubtransitionを誘導し、ホスファチジルグリセロールに対してはsubtransitionの転移温度を低下させた。このように、没食子酸プロピルは、リン脂質の極性基と特異的に相互作用をすることがわかった。 以上の結果は、抗酸化剤および水酸基を有する両親媒性化合物の生体膜リン脂質の物性に対する影響を知るうえで重要な知見である。
|