研究概要 |
1.Microcystis属藍藻のための平板培養法の確立 M.aeruginosa K3Aを用い平板培養法を検討した. 0.4%濃度のアガロースおよび抵融点アガロース平板培地で最も旺盛なコロニー形成が認められた. 菌液の希釈には滅菌水を用いるのが良く, 混釈法と塗沫法ではコロニー形成数に差は認められなかった. 2.霞ヶ浦からのMicrocystis属藍藻の分離と純化 前記平板培養法と液体培養を交互に繰り返すことにより, Microcystis属藍藻の分離と無菌化を図った. 本方法の特徴的な点は, plate outの際に菌懸濁液を激しく撹拌し, 群体の分散を図ることおよび平板上の小さなコロニーを選択することにある. 3回の操作の後, 15株中5株は完全に無菌化された. 3.分離株の毒性 前記方法により単藻化あるいは無菌化した20株について, その毒性を調べたところ, M.aeruginosaに属するK-70とK-139株がマウスに対し毒性を示した. この両株について詳細に検討したところ, K-70株のLD50値は250mg-菌体重量/kg-マウス体重であった. 一方, K-139株は, 強い毒性を示し, 対数増殖期初期の菌体は7.3mg/kgのLD50値を示した. 本毒素を投与し死亡したマウスの病理学検査を行ったところ, 肝臓にのみ, うっ血, 出血, 壊死の病変が認められた. 4.毒素の赤血球への作用およびcuringによる毒性の消失 マウス, ヒツジ, ウサギおよびウマの赤血球に対する溶血反応を調べたところ, いずれの赤血球に対しても溶菌は引き起さず, Grabowらにより報告された毒素と異なる作用を示した. また, novoviocinによるcuring処理により, K-139株からの毒素の消失を調べたが, 毒素の消失は認められなかった.
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