研究概要 |
1.E.coli K12株のγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)欠損株を取得し、GGTをコードする遺伝子(ggt)の染色体遺伝子上の位置を明らかにした。この結果を利用して、大腸菌染色体の遺伝子ライブラリーより、GGT高活性株を選択した。本株は野性株の5倍のGGT活性を示し、これを酵素源とすることにより、10lの培養液から約56倍の精製で50mgのGGT単一標品を得ることができた(収率40%)。 2.このようにして得られたGGT結晶標品を用いて、L-グルタミンとL-ドーパからのγ-グルタミルドーパの酵素合成を試み、その最適条件を検討した。その結果、L-ドーパ,200mM;グルタミン,200mM;NaCl,1M;ビタミンC,50mM;【Na_2】H【PO_4】-NaOH(pH11.0),100mM;GGT,250mU/mlから成る反応液を用いて、30℃で2時間反応させるとき、最大量である140mM(46mg/ml,総量6.18g)のγ-グルタミルドーパを生成せしめることができた。このようにして得たγ-グルタミルドーパをイオン交換カラムクロマトグラフィー等により精製し、絶品1.9g(収率30%)を得た。 3.γ-グルタミルドーパメチルエステルの酵素合成も試みたが、ドーパメチルエステルは、反応液中で加水分解され、そのγ-グルタミル化合物を得ることはできなかった。又γ-グルタミルドーパミンの酵素合成は検討中である。 4.ラット脳由来のアストログリオーマ細胞C6を培養し、インタクトな細胞がGGT活性を有することを明らかにした。また本細胞をパパイン処理した上澄液にGGT活性が存在することを確認した。 5.現在C6細胞を用いて、γ-グルタミルドーパの取り込みについて実験中であり、L-ドーパ取り込みとの比較、L-ドーパ取り込みに対するグルタチオンの添加効果、GGT阻害の影響等について詳細に検討する計画である。
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