研究概要 |
通常の部分あるいは加酢分解や酵素分解によって調製困難な抗腫瘍性グルカンの微細構造に相当するグルコオリゴ糖を, 位置および立体選択的反応を用いることにより化学合成した. シゾフィラン, スクレログルカンおよびレンチナンの微細構造に対応する4糖, β-D-Glcp-(1→3)-β-D-Glcp-(1→3)-〔β-D-Glcp-(1→6)〕-D-Glcp, β-D-Glcp-(1→3)-〔β-D-Glcp-(1→6)〕-β-D-Glcp-(1→3)-D-Glcpおよびβ-D-Glcp-(1→6)-β-D-Glcp-(1→3)-β-D-Glcp-(1→3)-D-Glcp, リヘナンの微細構造に相当する3糖, β-D-Glcp-(1→3)-β-D-Glcp-(1→4)-D-Glcpおよびβ-D-Glcp-(1→4)-β-D-Glcp-(1→3)-D-Glcpと4糖, β-D-Glcp-(1→3)-β-D-Glcp-(1→4)-β-D-Glcp-(1→4)-D-Glcp, β-D-Glcp-(1→4)-β-D-Glcp-(1→3)-β-D-Glcp-(1→4)-D-Glcpおよびβ-D-Glcp-(1→4)-β-D-Glcp-(1→4)β-D-Glcp-(1→3)-D-Glcpを合成すると共にニゲランの微細構造を表す3糖, α-D-Glcp-(1→4)-α-D-Glcp-(1→3)-α-D-Glcpおよびα-D-Glcp-(1→3)-α-D-Glcp-(1→4)-α-D-Glcpをそれぞれmethyl α-glycosideとして合成した. 従来天然のグルカンからは調製不可能であったこれらの合成オリゴ糖は^<13>C-n.m.rスペクトルやh.p.l.cによる抗腫瘍性グルカンの微細構造解析のモデル化合物として, あるいはグルカンの抗原-抗体反応の阻害剤として有用であると考えられる. 更に多くの抗腫瘍性β-(1→3)(1→6)-D-グルカンの分枝構造として共通な3糖, 3,6-di-O-β-D-glucopyranosyl-D-glucoseをacrylanide polymerに共有結合させ, 抗腫瘍性グルカンの免疫反応に役立てるため, この3糖をallyl α-およびβ-glycosideとして合成した. Glcp=Glucopyranose
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