研究概要 |
昨年度では, 筆者が開発した任意の土砂粒子を蛍光着色する方法により, 蛍光着色土砂粒子を作成し, これをトレーサーとして, 雨滴による飛散移動土砂粒子の移動距離について検討した. 本年度では同方法を風による土砂移動現象である飛砂に応用し, 飛砂現象における土砂粒子の移動距離について風洞実験を行い, 以下の結果を得た. (1)飛砂の1回の跳躍距離について 小粒径階の粒子は移動すれば, その跳躍距離は長いものの, 移動しない確率が高く, 移動しない粒子の距離も含めると, 砂表層構成土砂よりやや大きい粒子の跳躍距離が長くなる. (2)一定時間内の平均移動距離 砂表層構成土砂の粒径よりやや大きい蛍光粒子の移動距離が長くなるが, これは砂表層構成土砂の粒径よりやや大きい粒径の粒子の蛍光粒子設置ラインに残留する割合が少ないためである. 単位時間当りの移動距離に関する次のような実験式を得ることができた. L/d=α(V_*^2/g・D)式中, Lは単位時間当りの移動距離, d, Dはそれぞれ蛍光粒子と構成土砂の粒径, V_*はマサツ速度, gは重力の加速度である. 更に, 上式をd/D別に整理し, 砂表層構成土砂の1.2倍の大きさの蛍光粒子の移動距離が最も長くなることを明らかにした. (3)平均移動距離と経過時間との関係 吹風時間の経過にともなって, 平均移動距離の増加割合は小さくなり, 特に, 小粒径階の粒子ではその傾向が早期に生じ, 小粒径の粒子ほど砂表面状態の影響を受けやすい.
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