研究概要 |
1.林木の群または単木を単位とする施業法に共通する基準として幹形管理をとりあげ, 林木の健全性と完満性を主に配慮した幹形管理施業について研究した. 2.数量的な幹形指標に, 細り(1mあたりの直径減少量), 最下底の直径を用いる形状比Q0, Q1, (相隣)形状指数Ri(添字iは下部からの区分部番号)等を選んだ. 此等は, 幹形構造や幹形変化の解析に有効に機能した. 3.林分内平均木の胸高以上部に対する完満度Q1は, 主なスギ林業地(同令-斉林)の場合, 疎仕立・55〜45程度, 中庸仕立・55〜70程度, 密仕立短伐期・75〜90程度, 密仕立長伐期・100〜60程度で, 生育につれて, 減少方向, 増大方向あるいは一定化を示し, 今須・谷口地区のスギ・ヒノキ人工択伐林分では, 75〜40程度を示し, 減少方向で上層は疎であった. 人工林の単木では, その木の林冠構成上の位置や立地条件等に応じて, Q1を相当広い幅(100〜40)で管理できようが, 70年以上の高令上層木では, 70〜50程度で減少方向に管理することが望ましい. 4.単木の根張りの発達状況を, Q, Rや主成分分析法等を用いて, 樹型級別に, また各種林型の代表木等で解析した結果, 一般に, 生育につれてR_1は最小値に達して後増大していく. R_1>2, Q_0<Q_1に転ずる樹高7m附近(幹形変化の臨界点とした)の生育段階以降, R_1は増大して根張りの発達が進むが, 枯損傾向木では, Q_0大, Q_0>Q_1, R_1小でその変化も小さい. 5.地上高約8mまでの樹幹下部を4個の区分部にわけ, 相隣るRの大小関係によって下部幹形の型を分類し, 時系列的にこの型の変化を検討し, 単純幹形→C型→G型→H型→A型等, 幹形の型の変化についてモデルを示した. 複層林についての検討を更に深めたい.
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