研究概要 |
1.土壌堆積腐植の堆積様式を京都市近郊のアカマツ二次林, ヒノキ人工林落葉広葉樹林において調査した. 斜面上部においてはモル,モダー型の堆積様式が, どの調査地においても認められた. 一方, 斜面下部ではモル型の堆積様式が認められた. 土壌堆積腐植層(A_0)の量は, モル,モダー型で平均52t/haと, 斜面下部より多かった. 数10mの斜面地形に側って土壌堆積腐植の堆積様式, 堆積量の相違が示された. 2.小面積内における土壌堆積腐植層の発達様式をアカマツ林の斜面上部において調査した. 長さ10mのトランセクトにそって土壌堆積腐植層の堆積量を調べた. 5本のトランセクトのいづれの地点においても堆積腐植層はモダ型を示した. A_0の量は5本のトランセクト間において4.5cm〜6.9cmと変化した. また同一のトランセクトにおけるA_0層の地点ごとでの変動が認められ, A_0の堆積量は1〜3m程の小スケールで変化していた. 小スケールの堆積変動は, 森林での樹木の分布と関連していた. これとは別に5m程のスケールでの変動は, 地型と関連していた. 3.土壌堆積腐植層の発達様式を, 堆積腐植層を顕微鏡を用いてシクロベドロシの手法を用いて調べた. 従来の薄片作成法に代わるものとしてポリエチレングリコロールを用いた土壌薄片作成法を考察し, モルタイプの土壌堆積腐植層の発達様式を調べた結果, 分解はおもに上層において行なわれており, その下に位置するH層は, L上-層において分解者により生産されたササラダニ, トビムシ等の土壌節足動物の脱ふんや細片化された植物遺体の残土の集積層であることがわかった.
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