研究概要 |
小型林内作業車による搬出作業を合理的に実施するには、専用の簡易作業道(施業路)を開設する必要がある。今回経営上適切量の路線を開設している現地を実測した。実測地は愛媛県内の民有林地7.06haで、標高600〜700m,結晶片岩風化土のスギ人工林で一部にヒノキを含み約25年生である。平均傾斜28度〜35度,最高部は40度に達する南西向斜面である。実測により路線配置図を作製・考察し、次の点を明らかにした。 1.簡易作業道(幅員1.5m)を高密度に開設し、小型林内作業車により木寄せ搬出する方式で、材積率で20%以上の間伐を実施している。 2.簡易作業道は、一部他人の林地も含め一団地として計画開設している。 3.簡易作業道の縦断勾配は、最急部24度,平均20度以上の区間長は全路線の8.3%,平均10度から20度の区間長が約38%,残り約53%が10度以下で、使用小型林内作業車の能力に、十分適應している。 4.簡易作業道の系統別延長は、最長413m,次が360m,20系統中8個が300〜400m程度である。調査区域内の全延長は2147mで、域内での簡易作業道開設密度は303m/haである。 5.最大木寄せ距離は15〜25m,最短部で5〜14m,平均的な最大木寄せ距離は20mで、本簡易作業道1路線の平均受持ち幅は40mである。 6.簡易作業道が分岐する、隣接林道の密度は47.4m/haである。 7.実測結果に基く林地モデルは、幅40m奥行き190m,簡易作業道の迂回率η′=0.3,延長250m,林道の迂回率η=0.76になる。 8.簡易作業道の路面変形は、車輌わだち跡の凹みと雨水侵食で、幹線的区間での深さは10cm,最大16cmに達するが、支線区間では植生が侵入して路面の裸出な少ない。変形の著しい幹線的区間では、丸太利用の横断排水溝等による保全的対策土が必要である。
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