研究概要 |
都市域や都市近郊で増えつつある大規模な緑地造成において, 生態的な法則に従った健全で利用性の高い樹林を, 効率よく作りあげていくための技術的指針を得ることを目指した研究である. 1.緑地造成において樹木は空間構築材料の1つではあるが, 生活をし成長をするという特徴を持つ点に着目し, 以下の段階によって研究をすすめた. (1)配植や管理についての指針を自然林の構成と動態の分析から得るための森林調査方法および分析方法の検討, ならびにそれに基く現地調査. (2)自然状態の樹林における樹林の分布様式や樹種の組合せを利用した. マイクロコンピュータによる自動的な配植設計のためのプログラム開発. (3)樹木の成長や林相の変化など, 経時変化の特性を配植設計や植生管理に組込む方法の検討. 2.マテバシイ林(12地点), シイ林(9地点), 海岸低木林(3地点) シデ類を主とする夏緑林(11地点), などで詳細な森林調査を行ない, これらの分析と応用を試みて, 以下のような成果を得た. (1)図形データを含む森林調査資料のデータファイル化の手法の開発. (2)樹冠投影図, 林相断面図のプロッター作図や諸表の出力等のソフト開発 (3)スキャン手法によるクローネの垂直的分布の解析, 樹冠ベクトルの概念による樹冠発達の表現など林分構造の解析に関する新しい方法の提案. 3.配植設計への応用面では以下のような成果を得た. (1)ランダム関数を用いて直交座標系の座標値を得させる自動配植設計と, その図化および植栽位置の測設用の数値表を出力するシステムの開発. (2)樹冠の側方への伸長と上方への伸長の量または率をパラメータとして与え, 他種との競合を交えた樹形変化のシミュレーションの試行.
|