研究概要 |
この研究は, 生長途中の造林木の材質を非破壊的な試験により測定し, 将来この樹木から得られる木材の材質を予測する事を主要な目的としてもり, さらに材質育種への応用についても検討を行った. 試験は立木を傷めずに実施できる事, しかも測定された数値が, 木材の機械的性質を良く示すものでなければならないな塔の条件を勘案して, 樹幹の曲げヤング係数から林木の材質を予測する方法を考案した. はじめに試験方法の検討を行い, 樹幹への荷重は加力梃子(てこ)によるモーメント負荷とし, この時の樹幹の間借りを矢高測定器で測定する手法を決定した. つぎにこの方法による測定値の制度を検定し, 十分実用に耐える事を確認したのち, 造林器の樹幹ヤング係数の測定を行った. 北海道内のカラマツ造林地における現場測定の結果を要約すると1.樹齢に伴う材質の変化は10年生台で大きく, 20年移行に安定する. 2.一つの林分内では, ヤング係数と生長の良否には一定の関係は見られない. またその分布範囲はそれほど広くなく, 変動係数で10%台であった. 3.風当たりや斜面方向塔の立地条件による材質差が明らかに認められた. 4.精英樹52本からのクローン立器のヤング係数は全体としては広い範囲にあるが, この中から材質の優れたクローンを見出してこの苗木を育成すれば, 造林木の全般的な材質向上を図る事が可能になると考えられる. 5.苗木の産地による材質差については十分なデータを得るに至らなかったが, 各地に設定されている産地試験林での測定を進める事により, 材質の優れた母樹の産地やその造林適地が明らかになるであろう. 今後, この手法を応用して, 間伐木の剪定, 材質に基づく林分の用途区分などを推進し, 材質の管理に重点を置いた森林資源の育成が行われる事を期待するものである.
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