研究概要 |
本研究は2年間にわたり継続して行ったもので, 第1年目には主に流動装置の改良, システムの組立および高速流動サスペンションの凝集に関するデジタル画像データの蓄積と解析を行い, 第2年目には紙のデジタル画像データの蓄積と解析を行った. これらの成果をまとめると以下の通りである. 1.サスペンションの流動装置と可視化システムの構築:幅広いレイノルズ数の流れのもとでパルプおよび填料粒子の凝集過程の観察が可能となり, またレーザー光源によりフロックの高精度の評価が可能となった. 2.高速流動下での高濃度サスペンションのフロック化挙動の可視化法と定量評価法の確立:ストロボの高速瞬間発光の利用により, 高速流動中のフロック形成過程の撮像と可視化が可能となり, またリアルタイムでの定量的評価が可能となった. また高速流動サスペンションの瞬間画像のヒストグラムの統計処理により可視化法の再現性の高さを確認した. 3.サスペンションのデジタル画像の定量的表現の確立:フロック画像のネットワーク構造の抽出とその複雑さのグラフ理論による表現, および画像のヒストグラムの変動係数による表現から凝集の数値的表現法を確立した. 4.紙のデジタル画像データによる地合測定法の確立:透過法による濃淡のレベルの分布から紙の画像データを用い紙の地合測定が可能となる. 5.デジタル画像による可視化法とレーザーの散乱光による解析法の比較:両者を比較・併用することによりフロックの形成過程, 3次元的な位置などに関する情報がある程度まで得られることが分かった. 6.画像データベースの構築:上記の凝集状態の数学的表現法から凝集過程を表現する数式モデルの構築が可能となり, サスペンションと紙の画像の蓄積により画像データベース構築が可能であることが分かった.
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