研究概要 |
国産造林から造る新しいタイプの板材料LVB(lanainated vineer board)の開発研究を行い次の結果を得た. 1.基礎的材質:スギ, ヒノキ間材木から900×2700(mm)の実大LVBを多数製造し材質試験を行い, 次の結果を認めた. (1)比重, 耐水性は針葉合板と全く同等である. (2)反りの発生は小さく, 利用上支障を伴わない. (3)曲げヤング係数はLVBの単板縦つぎ部の影響を受けない. しかし曲げ強さは, その影響を受け, ヒノキLVBで約7割に強度は低下する. (4)スギLVBはヒノキLVBよりも性能が悪い. しかし全体としてパーティクルボードよりも軽量で強度が大きい. 2.床・壁下地材としての性能:LVBを住宅構造部材として実際使用したときの性能を検討した. すなわち, ヒノキLVBを用いた床パネルについて局部集中曲げ試験を, 2×4工法による壁体試験体について水平加力試験をそれぞれ行い, ラワン構造用合板を用いたパネルに勝るとも劣らぬ性能を保持することを認めた. 3.LVBの単板構成に関する理論的考察:複合材の基本式をLVBに適用して単板構成と曲げ性能の検討を行い, クロス単板を表層に用いる, いわゆるBタイプLVBが, クロス単板をエアーに挿入するAタイプよりもバランスのとれた使いやすい性質を持つことを認めた. 4.実際の工場におけるLVB製造ラインを検討し, ロボットと連続一段平板プレス(3台のプレスを連結したもの)を導入した完全自動化ラインを設計した. 以上, 2年間にわたる研究結果から, 国産造林木から作るLVBは, 十分にラワン合板を代替できる製品であることを認めた.
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