研究概要 |
本研究の目的は, 通常は酸性条件下で硬化させて使用するユリア樹脂接着剤やユリア・メラミン共縮合樹脂接着剤をヒドラジド化合物により中性条件下で硬化せしめて使用する新しいシステムを開発することにあり, 放射ホルムアルデヒド量の低減ならびに耐久性向上を狙いとしている. 昨年度に引き続き, 本年は次のような結果を得た. 1.本システムは, ユリア樹脂等のアノミ樹脂のメチロール基とヒドラジド基を反応せしめることに基盤を置いている. この点にさいては昨年も研究を行ったが, 本年も継続してモデル化合物の反応をBC-NMRによって解析し, メチロール基とヒドラジド基が比較的低温で反応し, メチレン結合を生成することが確認された. またヒドラジド基がホルムアルデヒドに対して2つ以上の活性反応を有することが認められた. 2.ポリメチルメタクリレート(PMMA)から合成したポリマー型のポリヒドラジド(ポリメチルメタクロイルヒドラジド)については, 昨年の研究で良好な木材接着性を有することが判明していたが, 本年はヒドラジドデヒドの和)の当量比を変化させてそれらの硬化反応をTBA法により解析した. 当量比0.1〜1.1の範囲で常温硬化性が認められたが, 0.3程度の当量比でも十分な硬化が確認され, 本システムの経済性が支持された. 3.2のシステムを合板作製に応用したところ, 塩化アンモンを硬化剤とした通常の方法に比べ, デシケーター方による放散ホルムアルデヒド量が半減した. 同時に, 耐水接着強度も通常方法に比べ向上することが判明した. 以上のことから, 本システムを木材接着に応用しうることが可能と思われる.
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